PCの仮想化とは、簡単に言うと1台のPCを複数台に分割して、別々のPCとして使えるようにする技術です。複数台に分割と言っても物理的に2つに分けるのではなく、ソフトウェア的に分割して、それぞれで別々のOSを同時に動かします(右図参考)。
これにより、仮想PCでWindows XPを動かして、Windows Vista非対応のアプリケーションを利用したり、仮想PCでLinuxを動かして、Linuxの勉強をしたり、仮想PCでWindows 3.1を動かして懐かしむなど、PCの活用範囲が広がります。
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1.用意するもの
(1) VMWare Server (フリー,英語) |
VMware Serverは、サーバOS(WindowsServer2003等)用ですが、保証外ながらWindows XPでも動作します。筆者の環境ではWindows 2000でも動きました。 仮想マシンの作成から仮想マシンの起動まで可能です。(※1) |
(2) VMWare Player (フリー,日本語対応) |
Playerと名の付くとおり、仮想マシンを起動する為のソフトで、仮想マシンを作ることは出来ません。VMware Serverで作成した仮想マシンや無料で配布されている仮想マシンをこれで動かします。 |
それぞれリンク先からダウンロードします。また、VMware Serverは無料のライセンスキーを入力する必要がありますので、別途取得しておきます。 |
(※1)配布されている仮想マシンを動かすだけなら、VMware Serverと2〜4の作業は不要です。 |
※2009/11/01 追記 VMWare Player 3.0以降、VMWare Playerで仮想マシンの作成が可能になりました。
下記のVMWare Serverで行っている作業と同様のことが、VMWare Playerのみで可能です。
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2.VMware Serverのインストール
それではVMware Serverのインストールを始めます。普通のソフトと同じようにインストールするだけなので、特に難しいことはありません。
下の画像をクリックすると、大きい画像のページが開きます。
(0) ダウンロードしたVMware Serverのインストーラを起動します。
(VMware-server-installer-x.x.x-xxxxx.exe)

(1) [Next]をクリックしてインストールを開始します。

(2) ライセンスが表示されるので目を通し、同意するなら「I accept the in the license agreement」にチェックを入れ[Next]をクリックします。

(3) セットップの種類を選択画面が表示されるので[Complete]を選択して、[Next]をクリックします。

(4) IISがインストールされていないと以下のような警告がでますが、必要なら後で入れることも出来るので、無視して[OK]をクリックします。

(5) インストール先を聞いてきますが、特に変更する必要がなければそのまま[Next]をクリックします。

(6) CD-ROMのAutoRunが有効になっていると、いろいろと不都合が発生するらしいので、これを停止するよう[Yes disable autorun]にチェックを入れてから[Next]をクリックします。

(7) 準備ができましたので、[install]をクリックして、インストールを先に進めます。

(8) ファイルのコピーや設定が行われます。少々時間がかかるので、終了するまで待ちます。

(9) [Serial Number]に、あらかじめ取得しておいたシリアル番号を入力します。[User Name]と[Organizaion]は任意の名前などを入力すればOKです。入力したら[Next]をクリックします。

(10) これでVMware Serverのインストールは完了です。[Finish]をクリックしてインストール画面を閉じます。

インストールが終了すると、デスクトップに「VMware Server Consol」アイコンがあるので、ダブルクリックすればVMware Server Consoleが起動します。
3.仮想マシンの作成
「VMware Server」を使って、「VMware 仮想マシン」を作成します。
下の画像をクリックすると、大きい画像のページが開きます。
(0) 「VMware Server Console」を起動し、[Local host]にチェックを入れて[OK]をクリックします。

(1) メニューから[File]→[New]→[Virtual Machine...]を選択し、仮想マシン作成ウィザードを起動します。

(2) 仮想マシン作成ウィザードのWelcome画面が表示されるので[次へ]をクリックします。

(3) 仮想マシンの構成をどうするか聞かれますが、後で変更可能なので、Typicalにチェックを入れて[次へ]をクリックします。

(4) ゲストOSの種類とバージョンを選択します。これからインストールしようとしているOSに合わせて選択してください。選択肢に無い場合はOtherを選択します。
ここでは「Windows XP Professional」をインストールするものとして説明します。[Guest operationg system]で[Microsoft Windows]、[Version]で[Windows XP Professional]を選択しました。

(5) 仮想マシンを保存する場所を選択します。通常はデフォルトのままで良いでしょう。好みに応じて変更も可能です。外付けUSBハードディスク等なら、OSごと持ち運べて便利かもしれません。

(6) ネットワーク構成を選択します。後で変更できるので[Use bridged networking]をチェックして[次へ]をクリックします。

(7) 仮想マシンが使用するディスクの容量とオプションを設定します。
後で変更できないので、これは慎重に決めてください。
[Disk_size]にはGB単位で容量を設定します。
[Allocate all disk space now.]は、[Disk_size]で指定したサイズ分の容量を予め確保するかの設定です。予め確保しておくとディスクアクセスの速度が向上するので、チェックしておくと良いです。
[Split disk into 2GB files]は、仮想マシンのHDDを複数ファイル(2GB単位)に分割するかどうかの設定です。仮想マシンを丸ごとバックアップする時、分割していれば複数枚のDVDに分散して焼く事が出来ます。好みで設定してください。

(8) (7)で[Allocate all disk space now.]をチェックしていると、予め必要なディスク容量を確保するので、少々待ち時間が発生します。その場合は、終了するまで待ちます。

(9) 仮想マシンの作成が完了すると、作成した仮想マシンがInventoryのリストに現れます。次にこの仮想マシンの設定を状況に応じて変更します。

をクリック。

(10) 仮想マシンが使用するメモリの容量を変更します。ホストマシンのメモリ容量や同時起動する仮想マシンに応じて、バランスよく配分します。

(11) 利用するCPUの個数を選択します。ホストマシンがマルチプロセッサの場合は、ぜひTwoを選択しておきましょう。CPUの性能を生かせます。

(12) ネットワーク構成を設定します。自宅LAN等の場合は[Briged:〜]で問題ないでしょう。使用できるIPアドレスに制限がある場合や外部ネットワークに繋がない等の特殊な環境の場合は、必要に応じて[NAT:〜]や[Host-only:〜]を選択します。

(13) 仮想マシンを作成した場所をエクスプローラで見てみます。
拡張子.vmdkのファイルが、仮想マシンのHDDのイメージファイルです。予め確保する設定で作成したので、既に16GBのファイルが作成されています。

これで、VMware仮想マシンの作成は終了です。次は仮想マシンへOSをインストールします。

をクリックすると仮想マシンが起動します。
4.仮想マシンにOSをインストール
OSインストールに先立ち、VMwareの操作で覚えておく事が2つあります。1つはホストマシンと仮想マシンの操作切り替え。仮想マシンに操作を移すときは、仮想マシン内をクリックするだけですが、
仮想マシンからホストマシンに操作を切り替えるときは、ALT+CTRLが必要です。
もう1つは、
仮想マシン側でCTRL+ALT+DELTEをする時は、DELTEの代わりにINSERTを使い、CTRL+ALT+INSERTとなります。この2つは覚えておいてください。
ではOSのインストール作業に入ります。ホストマシンのCD-ROMドライブにOSのCD-ROMを入れ、仮想マシンを起動するとOSのインストーラが起動します。この辺は通常のPCにOSをインストールする場合と一緒です。
※ここでは「Windows XP Professional」のインストールを行っています。
(0) 仮想マシンが起動中です。この画面でF2を押すとBIOSの設定画面が開きます。初期インストールの場合はデフォルト設定で良いので、セットアップが始まるのを待ちます。

(1) OSのインストールが開始しました。Enterを押してインストールを続行します。

(2) インストール先を選ぶ画面では、仮想マシンの作成時に指定した容量のディスク(未使用の領域)が表示されているはずです。これを選択してEnterを押します。

(3) 仮想マシンのHDDをフォーマットします。Windows XPなので、NTFSを選択します。

(4) 仮想マシンのHDDがフォーマットされます。暫く時間が掛かるので待ちます。

(5) この先はしばらく自動で先に進みます。この辺も通常のPCへのインストールと一緒です。

(6) 特に説明すべき事は無いですね。先へ進めます。

(7) まだVGAの設定が出来ていないので、Windowsが自動調整します。これも気にせず先に進めます。

(8) 完了までもう少しです。

(9) 仮想マシンで「Windows XP Professional」が起動しました。仮想マシンで動いているOSをゲストOSと呼びます。ホストマシンで動いているOSはホストOSです。

(10) もう普通のPCと同じように使えますが、
使い勝手を向上させる為に「VMware Tools」をインストールします。VMware Serverのメニューから[VM]→[Install VMware Tools...]を選択します。

(11) ゲストOS上で、「VMware Tools」のインストーラが自動的に起動します。一般のソフトと同じ感覚で、VMware Toolsをインストールしてください。

(12) 「VMware Tools」をインストールすると、画面の描画性能が格段に良くなり、設定可能な画面解像度も広がります。また、操作の切り替えで、ALT+CTRLが不要になります。ゲストOS内でマウスカーソルを画面の端に持っていくと、自動的に操作がホストOS側に移ります。

これで、仮想マシンにインストールしたゲストOSが使えるようになりました。後は通常のPCと同じように、各種設定やソフトウェアのインストールを行うだけです。他にも仮想マシンで動かしたいOSがあれば、同じ手順で作成します。